くらし

毛無山から十二ヶ岳

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西湖から文化洞トンネルを抜けてすぐ右が登山口。毛無山に向かい新緑のトンネルを右左へと急斜面を登る。

汗をかいた体に心地よい風。山ツツジや小さな紫のアヤメ。一五〇〇メートルの毛無山は絶景だ。

いざ十二ヶ岳へ。一ヶ岳、二ヶ岳、三ヶ岳…。十一ヶ岳の岩場をロープで降りて、吊り橋の向うの緑の大きな塊の十二ヶ岳を見上げて絶句。

髪の毛が逆立つとは正にこの事である。頂上まで垂直に延びているルートは岩場で、手、足を使い、ロープ、鎖にしがみつく。足場が定まらず、肘、膝も使い、木の根、木の幹を頼りに登る、登る。

振り返って展望すると、今、まさに登ってきた山の向うに富士山と湖の大パノラマ。現状を忘れ、見惚れるほどの一望の価値あり。一六八三メートル、十二ヶ岳の頂上で、おもわず山頂の祠に手を合わせ無事に感謝する。

帰路は最初のロープの急斜面の他は静かな林の中で、緩やかな下りである。フタリシズカの白い花の涼やかさ。沢水の冷たさが格別である。登山は大きな期待と、同程度の不安が有るが、下山すれば総て喜びに変わる。

まさにそんな山であった。(斉木いま子)