くらし

「馬具」出土で、小笠原牧説が有力に

茅ヶ岳の麓は、平安時代に「小笠原牧」(馬を飼育した区域)があったといわれ、近年の発掘調査により、その全体像が明らかになってきた。十月下旬に、明野町浅尾の「上原遺跡」(かみはらいせき)で、「馬具」が出土したことが明らかになり、「小笠原牧」説がさらに有力になってきた。

出土した馬具は、馬がくわえるハミと鏡の部分で、県内では初の発見。平安時代は金属製の馬具は貴重品で、農耕用の牛馬には使用しなかったことから、「牧だから出たのではないか」(埋蔵文化財センター)と小笠原牧説に期待が膨らむ。

また、京都周辺でしか流通しなかった「隆平永宝」も出土した。この隆平永宝は、七九六年に鋳造された「皇朝(こうちょう)十二銭」の一つで、牧で生産した馬を朝廷に貢納して、地方では珍しかった貨幣を持ち帰ったといわれ、小笠原牧といわれている茅ヶ岳の麓の寺前遺跡や下大内遺跡、上ノ原遺跡などからも出土しているという。

このほか、梅之木遺跡から馬骨と焼き印、寺前遺跡からは「鈴」、浅尾原遺跡からは、てい鉄などの鍛冶屋の集団がいたとされ、馬に関係する出土品も多く、今後の調査によって、「小笠原牧」の存在がさらに強くなりそうだ。