温泉フォーラム開催
温泉を活用した健康づくりの推進や、全国各地の温泉地の取り組みなどを支援する「健康と温泉フォーラム2016in北杜市」が、10月14日〜16日の3日間開催された。北杜市、増富ラジウム温泉峡観光協会、特定非営利活動法人健康と温泉フォーラムの主催。
初日の14日は、須玉町の須玉ふれあい館を会場にして、講演やサミット会議、市民フォーラムが開かれ、関係者や市内外から約350人が参加した。
東京大学名誉教授の養老孟司氏が基調講演では、「幸せになる生き方、暮らし方—温泉と養老訓」をテーマにし、「申し訳ありませんが、私はお風呂に入るのが面倒で嫌いなんです。ぬるい風呂は好き」と話し始め、「人の生死や健康は、必ずしも自分が考えて計算できるものではないと先人は知っていた。しかし、現代では、デジタル化によって計算できない未来に対して、不安や恐怖が生まれ、変化を避けるようになった」といい、「現代人は『安全安心』を追求し、デジタル化によって、時間が経っても変わらない『同じ』ものをつくろうと考えた」と説明し、「『同じ』だと進化しない。予測できないことが怖い現代人は、子供を生まないようになってしまう」と警鐘を鳴らした。まとめでは、「あとは温泉に入って、ご自分で考え下さい」といい、会場を笑わせて締めくくった。
講演に続いて行われた「市民の元気とふるさと創生」と題したサミット会議では、大柴正和北杜副市長や、秋田県仙北市の門脇光浩市長、鳥取県倉吉市の山崎昌徳副市長、熊本県菊池市の木村利昭副市長、新潟県阿賀野市の土岐昇産業建設部長が5市の代表として参加して各自治体の温泉を使った政策を紹介した。
政策の紹介では、「市内の温泉施設に温泉を引き込むパイプの補修へ入湯税使うこと」(仙北市)や、「温泉の認定規準の緩和を行い、医療費控除の対象施設をつくれないかという話し合いを医師会と行っている」(倉吉市)などが挙がった。
さらに、「温泉と健康増進」と題した市民フォーラムでは、増富温泉女将の会の八巻苗美さんや、中田医院中国医学研究所の中田薫院長、一般社団法人護持の里たまゆらの小山芳久代表理事による意見交換が行われたほか、会場の参加者を対象にした全国の温泉宿泊券などが当たる抽選会も開かれた。
大泉町から参加した宇佐美信之さん(68)は「増富温泉の泉質の良さから、太平洋戦争中の療養地になっていたということを知ることができた。また、地元の医院が温泉と医療をつなげる取り組みを行っていることに心強さを感じた」と話した。