見上げてごらん

月明かりの見える街に住んで30年

 

今から約30年前、東京からこの八ヶ岳南麓に移り住んできました。理由は「この地に美しい星空」があるからです。そして自宅の庭に天文台を建てて、天体の写真撮影を行ったり、望遠鏡で眺めたりすることを行って来ました。

日本では、戦後の高度経済成長とともに、街灯やネオンサイン等の夜の照明が増加して来ました。それに伴い都会では淡い星の光はかき消されてしまいました。

私たち天文マニアは、地方へ遠征して天体観察を行うことが日常となっていました。その中でも別荘としての天文台を持つことが人気となり、そんな状況下で、この地に移住しました。

この地へ移住した時期は、ちょうどバブル経済の真っ只中。八ヶ岳南麓はリゾート開発が盛んに行われ夜の光が増えて来ました。今となっては笑い話ですが、スキー場のナイター照明は深刻な問題になり、「星空か観光か」と言う議論になっていました。

2010年11月1日、星空を活かした地域おこしと大気環境意識の高揚を目的とした第22回「星空の街・あおぞらの街」全国大会が山梨県北杜市で開催され、星空を通した環境活動功労者の表彰や児童による星空観察の発表、記念講演などが行われました。

全国大会前には、星空観察の指導者として、市内の各小学校に出向き、子供たちの星空観察のお手伝いを行いました。

この地域にとって星空の良く見える環境が大切なだけでなく、自然とともに暮らす事が当たり前になっています。その中で月明かりを楽しむ事を提案したいと思います。ナイトウォークが盛んに行われていますが、月明かりの夜に散歩するのも良いかと思います。

街灯の少ない地域だからこそ可能だと思います。満月の夜には、暗い星はかき消されて見えません。その分自然の景色や動物たちが良く見えます。是非月明かりの夜を楽しんでみて下さい。

(大友哲)