見上げてごらん

観測には双眼鏡を

「星を見るのに天体望遠鏡を買いたいのですが、どんなのを選んだらいいのか教えてください」と、初心者の方から良く聞かれます。

そういう場合、私はたいてい「買う前に、まずは星座の形やどのあたりに何という星があるのかを肉眼だけで分かるようにする方がいいですよ」とアドバイスすることにしています。

望遠鏡メーカーから怒られてしまいそうですが、天体望遠鏡は観測対象や目的がはっきりしてから買い求めるものなのです。

そして、ある程度、星座の形などが分かり始めた時におすすめしているのが双眼鏡です。そこで今回は双眼鏡の選び方についてです。

星を見るのに手持ちで使える天体用として勧めている双眼鏡は、ズバリ「7倍で口径50㍉の製品」です。各光学メーカーから数万円程度で販売されています。

口径は大きい方が明るいのですが、これより大きい口径のものを選ぶと重くなり、手ブレを起こしやすくなるので、三脚が必要になってしまい手持ちでの利用が難しくなります。

また、初心者の方は、倍率の高い製品を選びがちですが、高ければ良いというものではありません。倍率が高くなると「見える範囲が狭くなるので対象物を視野に入れるのが難しくなる」や「手ブレしやすくなる」、「視野が暗くなる」などの理由から、7倍から8倍程度が一番良いのです。

双眼鏡を手に入れたら、まずは月を見てみましょう。かなり詳細に見えるはずです。ただし、太陽に向けてはいけません。

(文:渡辺啓治)