見上げてごらん

木星と音楽

雪交じりの4月が去り、八ヶ岳にも本格的な春、5月がやってきました。

このところひときわ明るい星が夜空に輝いているのですが、気がつきましたか。5月上旬でいうと、21時〜22時くらいの南の空です。実は太陽系の中で最も大きなあの惑星。木星です。

1週間後には「見かけ上」木星が月に大接近します。明るい木星と月の共演が今から楽しみです。「見かけ上」とは、実際に木星と月が接近しているわけではなく、あくまでも地球から見て接近しているように見えるということ。

光の速さでいうと、地球から月の距離は約1・3秒、地球から木星までは約35分かかります。地球から見て横に並んでいるように見えても、実際にはだいぶ距離があるのです。地球から同じように見える星たちや惑星の位置が途方もないスケールで離れているということ考えると、空が今までよりも立体的に見えるような気がして、わくわくします。

話は少しそれますが、私の趣味は音楽です。木星で思い浮かぶのが、イギリスの作曲家「グスターヴ・ホルスト」の管弦楽のための組曲「惑星」の中の「木星」です。ホルストは、この組曲に取り掛かる前の1913年から「占星術」に傾倒していくようになったといわれています。

占星術とは、太陽系内の太陽・月・惑星・小惑星などの天体の位置や動きなどと人間・社会のあり方を経験的に結びつけて占うものです。

この曲を聴いていると、壮大な宇宙へ旅をしているようだなと感じていたのですが、実際には占星術というような占いや神話に関わる世界を参考にしていたというのがまた興味深いです。

天文が占いや神話になって、そこから音楽や文学に結びついていくというのは、必然的であったとは思いますが、空を見上げて考えることが人それぞれ違うというのも、やはり天文の壮大さを証明しているのだと思います。

さて、音楽を脳内再生しながら、今日も空を見上げたいと思います。

(清水千恵実)