ヤナギラン

八ヶ岳ブルーの空が最も似合う花。それがヤナギランだと思う。青空と八ヶ岳を背に、草原の風にやさしく揺れるピンク色の花々。群生するも、1本1本は凛として立つ。あたかも身の内に誇りを秘めているかのようだ。

夏の終わり花の下に4〜8㌢のさや状の実ができる。熟すと4裂し、絹のごとき綿毛を付けた種が現れる。

この恐ろしいほどの唐突な変容は不思議で、旺盛な生命力を感じる。

小学校2年生の夏休み、家族で訪れた蓼科山でヤナギランの美しさに魅せられ、どうしても花の名を知りたくて、植物図鑑を買ってもらった。初めて図鑑で調べた時の心の高鳴りは今でも覚えている。そして大学でヨーロッパに旅したとき、アラスカ空港から見た、壮大な草原に広がるヤナギランは、優しく暖かく心を包んでくれる思い出の花である。

(文・写真 松本靖子)