できごと

危急種の「ゲンゴロウ」が羽化

絶滅の危険性が高まっている欧州北部の水生昆虫「オウサマゲンゴロウモドキ」が、長坂町の北杜市オオムラサキセンターで、ぞくぞくと羽化している。6月13日までに昨年の約4倍の34匹の成虫が確認され、冨樫和孝副館長は、「非常にうれしい。安定繁殖に向けてさらに研究を進め、繁殖方法をマニュアル化したい」と話している。

このオウサマゲンゴロウモドキは、国際自然保護連合のレッドリストで危急種に選定されており、2019年11月、種の保存に向けた研究のためにラトビアから特別に提供され、同センターを含む国内の3施設で飼育繁殖が行われてきた。

冨樫副館長によると、今年は、4匹の雌をいれた繁殖用の水槽で3月10日に初めて産卵が確認され、4月8日から5月上旬にかけて、昨年の約25倍の250匹の幼虫が孵化(ふか)した。幼虫は土に潜ってサナギとなり、5月24日に1匹目の成虫を確認したという。

幼虫の数が約25倍になったことについて、冨樫副館長は、昨年より2カ月ほど長く繁殖用の水槽の水温を4度程度に保ち続けたことで、卵の成熟が進んだのではないかと考察。

今後の課題については、「幼虫は食性が偏っていて、成虫になるまでに100匹以上のトビケラを必要とする。自然から捕獲し続けると生態系に悪い影響を与えてしまうため、トビケラの養殖技術を確立したい」と話している。

同センターは、7月上旬から今年羽化した成虫の展示を始める予定。詳細は☎32・6648まで。