夏の終わりを彩る マツムシソウと クジャクチョウ
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雪ばれのある日、野辺山高原をドライブした時、枝ぶりの良い松が見えた。今まで四季折々通っている道だ。巻層(けんそう)雲の青空と八ヶ岳の雪嶺を背景に、形の良い松の少し雪を乗せた枝が印象を深めている。車を止めてしばし眺めた。演壇の松の盆栽を思い起こさせる樹形だ。
厳しい冬の季節でも凛とした姿を保っているのが、古来長寿の常盤木として愛でられたのだろう。20年前に八ヶ岳南麓に家を入手したとき、庭に野生の赤松の若木が生えていた。いずれ大木になるし、日陰をつくるので今のうちにと切り倒してしまったが、庭には松、との昔気質の義母は残念がっていた。
今回ネット検索で、松樹1000年の翠(緑)という禅語を知った。移ろいやすい自然や人の世の中でいつも変わらないのが松の緑。残り少なくなったが、我が人生のバックボーンとしもあって欲しいことだ。
(文・写真 高木宥)