キュレーターの太田さんが語るロバート・フランク
世界的に有名な写真家、ロバート・フランク(1924~2019)の生誕100周年企画展を開催している高根町の清里フォトアートミュージアムで8月4日、フランクと親交のあったキュレーターの太田菜穂子さん(69)を迎えたトークイベントが開かれた。
フランクは、1950年代のアメリカの光と影を捉えた写真集「アメリカ人」で広く知られており、ストリート・フォトグラフィーで自身の直感的な感情を移入した作品は、「まるで詩のような写真」といわれ、新たな表現手段として後進の写真家に大きな影響を与えた。
同日のトークイベントで太田さんは、「フランクに出会って、写真が社会にどのようにアクセスして機能するのか、どうやって時代を変えてきたのかを知り、写真への価値観が変わった」と語り始め、交流について、新人写真家の発掘と育成、支援を目的にした公募コンテスト「キヤノン写真新世紀」(1991年設立)の企画立案で悩んでいたときに南仏にいたフランクを訪ねたことがきっかけになったと紹介。
「仕事のパートナーは友達じゃないとできない」と言われ、日々の暮らしや出来事などを伝え合う手紙のやりとりを重ねて親交を深め、94年の同写真コンテストにフランクをゲスト審査員として迎えたことや、写真に対し、「直感とこだわりを大切にしていた。写真を見た人が、『これっていったいなに?』と質問をしたくなるような作品についての思いをよく語っていた」と話した.
また、「常にフラットな人だった」というフランクの人柄や写真への信念、社会問題への向き合い方などを語り、実際の手紙を紹介しながら、約30年間の交流を振り返った。