声の文学全集
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「かわいい」という言葉が流行語になって久しいが、南アルプスを見て「かわいい」という人はちょっといないんじゃないか。でも、ぼくはかわいい南アルプスを見つけた。
そこはJR甲斐大泉駅から歩いて十五分ばかり下ったところにある井富湖の湖畔だ。目印は大きな三本の樹。
手前からヒメバラモミ(樹高二十四メートル)、ハリギリ(同二十一・五メートル)、ホオノキ(同十九・五メートル)といずれもデッカク、とりわけホオノキは東西南北に二十二~二十五メートルも大きく枝を張っている。
その先っぽの葉っぱと葉っぱの間から南アルプスの一部分がかわいい顔をのぞかせているのだ。
「威風堂々」、「端麗優美」といった形容詞が似つかわしい南アルプスだが、たまにはこんなかわいい姿もいい。
(さっちゃんパパこと伊藤暢彦)