ホソバノアマナ
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ツクモグサとの出会いは、六年前の初夏の横岳稜線でした。
聞くところによれば、本州では同じ時期に咲くウルップソウと並んで八ヶ岳と白馬岳でしか見られない稀少種と言われています。
オキナグサ属の多年草で、高さは約十~十五㌢、特に咲き始めの茎や葉には軟毛が目立ち、恰(あたか)も鶏のヒヨコの様な淡黄色の姿は大変可愛らしく見えます。この軟毛には、厳しい冬に耐えて生き抜くしたたかな知恵が隠されているのでしょう。
名前のツクモとは、明治時代の後半に、城数馬氏が八ヶ岳でこの花を採取し、尊敬する父の名の九十九を花名にしたそうで、軟毛をおじいさんのヒゲに例えたのではないそうです。
ツクモグサの由来を知り、なおさら興味が湧き、毎年のように六月を迎えると横岳稜線のいつもの場所で、雪解けの枯れ草を押し分けて待っている花との逢瀬を楽しみに出掛けます。
(文・写真 坂本鋼治)