ヌメリスギタケモドキ
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ここに移り住んだ七年前、赤松の林を切り開いて庭を作った。それから数年経った秋、シャラの木の下に薄紫の筋の入った清楚な小さな花が少しだけ咲いた。センブリだった。
センブリは日当たりの良い草地を好むらしいが、以前ここに自生していたのだろうか。毎年少しずつ増え今年は沢山の花が咲いた。
この庭がセンブリの好む環境に近付いてきたのだろうと思うと嬉しい。干したセンブリを煎じたものは、千回振り出しても苦いことから「千振」と言われるそうだ。でも、楚々とした花の姿からその苦さは想像できない。
今、花の周りには放射状の小さな根生葉が数え切れないほど出ている。この葉が厳しい冬を越え来秋にはまた、沢山の花を見せてくれるのを楽しみにしている。
(文・写真 佐波雅子)