八ヶ岳自然散策

横岳に咲く ツクモグサ

6月は憂鬱(ゆううつ)な梅雨空が続くが、この頃、八ヶ岳の横岳周辺にだけ咲く可憐な花がある。それがツクモグサ。

ツクモグサはオキナグサ属の一つで日本固有種、かつ絶滅危惧1B類であり、その自生地である北海道、白馬岳、横岳(八ヶ岳)全部を合わせても「数百株しか存在しない」と言われている。

クリーム色の花弁の様に見えるのは6枚の萼(ガク)片で、咲き始めには外側に毛が生えており、ポシャポシャと可愛らしく見える。ただ萼片は陽が当たらないと開かないので、頑張って午前中に頂上に着くとまだ完全に開ききっていない花しか見られない。

会いに行くには杣添(そまぞえ)尾根を行くのが一番早く危険な所もほとんどないが、本格的な登山になるのでハードルは少し高い。

(文・写真 渡辺秀正)