できごと

学芸員が平山氏の作品解説

長坂町の平山郁夫シルクロード美術館は5月22日、会期中の企画展「平山郁夫 祈りのかたち」の見どころを解説するギャラリートークを開いた。約10人が熱心に学芸員の解説に耳を傾け、作品に見入っていた。

日本画の巨匠・平山郁夫氏(1930〜2009年)は、150回以上の取材旅行を通してシルクロードに関する作品を数多く残し、文化財の保護活動にも尽力。今回の企画展では、平山氏がシルクロードなどで出合ったさまざまな宗教の「祈りのかたち」を描いた作品を展示している。

同日のギャラリートークの案内役を務めた大塚裕一学芸室長は、「世界中の人々は祈りをもってさまざまな困難を乗り越えてきた。人類の普遍的な祈りを描いた作品が、少しでもコロナ禍の癒しになればと思い企画した」と語り始め、キリスト教の信者が救いを求めて聖地ルルドへ行進する姿を描いた「祈りの行進 聖地ルルド・フランス」を紹介。

2001年にイスラム原理主義者によって破壊されたアフガニスタンの大石仏を描いた作品「バーミアン大石仏を偲ぶ」では、「過ちを繰り返してはいけないという画家の祈りが込められている」と語った。

また、平山氏の13回忌に合わせて同館初公開となった作品「法然偏依善導」は、広島県尾道市の生家が信仰した浄土宗に関わる大作で、「1979年の中国での個展に合わせ、日中文化の掛け橋になることを願ってつくられた」と解説した。

笛吹市から訪れた河野妃瑳さん(52)は、「作品から人々の力強い祈りが伝わってきた。平山さんの生涯をかけた取り組みに感銘を受けた」と語った。

学芸員によるギャラリートークは、6月19日にも予定されている。午後2時開会。企画展「平山郁夫 祈りのかたち」は6月22日まで。問い合わせは☎32・0225まで。