くらし

矢の堂の茅葺き屋根が完成

小淵沢町の北杜市指定文化財「義光山矢の堂」で、昨年7月から行われていた本堂の茅葺き屋根の修復工事が完了した。日が差すと真新しい茅葺き屋根が黄金色に輝き、訪れる人の目を楽しませている。

約25年ぶりの葺き替えで、富士かやぶき建築「茅吉」の杉嵜靖司代表によると、富士山麓の3種類のカヤを1000束以上使用。4人の茅葺き職人で作業にあたった。

木造建造物を火事から守る火除けのまじないとして設置する屋根飾りの「懸魚(げぎょ)」は、東京芸術大学大学院の文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室で研究助手を務める山田亜紀さんが作成。木目が細かいヒメコマツを使用した。(写真)

この修復工事は、地域住民でつくる「矢の堂奉賛会」が進めてきたもので、総事業費は約900万円。市の補助金や地域住民の寄付、会の自己予算でまかなったという。

同奉賛会の田中弘隆会長は、「地域住民の思いで完成することができた。後世に引き継ぐことができる喜びと感動をかみしめている」、「今月の25日に足場が撤去されるので、立ち寄ってみてほしい」と話している。