くらし

2022の幕開け 上村市政2年目の船出

2022年、上村市政2年目の船出が始まった。新型コロナウイルスの世界的大流行で感染拡大の波が繰り返されるなか、昨年はコロナ対策に翻弄(ほんろう)された1年になった。だが、山積する課題は待ったなしの状態だ。昨年末に「第3次北杜市総合計画」と「新・行政改革大綱」の素案を発表し、同大綱では、これまで触れられずにきた課題を明記。上村英司市長は、「合併して17年が経過するなか先送りにされてきた課題もある。解決していくための始動の年にしたい」と話しており、行財政改革に向けた動きが加速することになりそう。

総合計画と行革大綱

市の最上位計画で、2030年までの基本構想となる「第3次北杜市総合計画」(素案)では、5つの「2030年、地域のありたい姿」を設定。「子育て・教育・若者」、「健康・福祉」、「市民生活・文化」、「産業経済・観光」、「環境・都市基盤」についての目標を設けた。

また、「新・行政改革大綱」(素案)では、「未来のために、チャレンジで変化を生み出す」とし、「行政運営を合理的・計画的に執行するための指針」と位置づけ、公共施設保有量の最適化や組織体制の適正化など、4つの柱を設定している。

子どもの数を2倍

上村市政では「10年で子どもの数を2倍にする」という長期目標がある。昨年の12月定例市議会で上村市長は、「こども政策部」を新たに新設し、出生率の引き上げや子育て世代の転入を図り、結婚から子育てまでを切れ目なく支援する体制を整えるとした。

だが現状では、若い女性の転出が目立っており、どう歯止めをかけるのか、また、魅力ある北杜市づくりを進めるためにも、若者や子育て世代が求める世界がどこにあるのかをしっかりと調べ、首都圏から近い地の利を生かした新たな提案に期待したい。

組織体制の適正化

合併17年が経過するなか、長年腫れ物に触れる課題の一つになっていた本庁舎建設問題に対し、方向性を市民と共有するため「本庁舎のあり方に関する市民検討会(仮称)」を設置すると明記した。また、総合支所の簡素効率化を図るとしており、住民サービスの低下を抑えながら、行政のスリム化を図ることができるのか関心が集まる。

さらに、業務の高効率化が求められることで職員意識の改革が大きな課題になるとみられ、機構改革だけではなく、横断的な課題解決や市の情報発信と透明性の確保が急務になっている。

課題解決へ

上村市長は本紙の取材(12月23日)に対し、特に子育て施策や産業の創出、行政改革に重きを置き、市が抱える約360の公共施設について、「集約を進め、各施設の機能強化を図る」との考えを示した。

また、昨年11月の市制祭で、市の最大の課題を「旧町村意識」と述べたことについて、「各地域の歴史や文化をお互いに伝え合い、知ることが一体感のあるまちづくりにつながる。地域の個性が光る行事を大切にしたい」と話しており、新年に向け、「市民の声をしっかり聞いて決断し実現していきたい」と語った。

ウィズコロナ

21年は新型コロナに振り回され、昨年末からは新たな変異株「オミクロン株」への警戒が強まり、「第6波」の懸念の声があがるなど、コロナ対策は予断を許さない状況が続くが、北杜市の近未来を見据えて、行革に向けて大きく舵を切った上村市長。「北杜新時代・幸せ実感・チャレンジ北杜」の実現に向けた新たなスタートになろう。