韮崎エリア

大村美術館でギャラリートーク、岸田劉生の孫が作品語る

 韮崎大村美術館で開館15周年を記念した企画展第2弾「劉生・麗子・夏子〜愛の肖像〜」(2月26日まで)が開催されている。12月10日には、画家・岸田劉生の孫にあたる岸田夏子さんを迎えたギャラリートークが開かれ、劉生や母親の岸田麗子についてのエピソードを紹介しながら、作品について語った。

 岸田夏子さんによるギャラリートークは、同企画展の一環として開かれたもので、会場は展示作品26点が並ぶ企画展示室で行われ、市内外から約30人が参加した。

 岸田劉生は、1891年に東京都で生まれ、黒田清輝氏に師事。次女の麗子をモデルにした「麗子像」といわれる多数の作品や油彩画「道路と土手と塀」などは日本の近代を代表する絵画として広く知られているという。

 ギャラリートークで岸田さんは、「母の麗子は、幼少期から劉生のモデルになっていた。肖像画は愛がなければ描くことはできない」と話しはじめ、「写実の画家である劉生が麗子像だけは違うタッチで描いていることは謎。その謎があるからこそ、『麗子像』は人気なのかもしれない」と説明した。

 同企画展で展示している「麗子立像」(1920年・水彩)については、「縁側に立つ娘がまぶしい表情をした瞬間を劉生は微笑ととらえて描いている。たくさんの麗子像の作品があるが、どれも新鮮な気持ちで筆を持ち、同じようには描かれていない」、「他の作品とも見比べてほしい」と紹介。  また、岸田麗子が作品のモデルになっていた時の心境について、「父を助けたいという気持ちや、何が美しいかを学ぼうとしていたのではないか」といい、「動くことが許されないモデルとしての忍耐強さも培われていた」と語った。

 北杜市から参加した後藤億良さん(81)は、「作品ができるまでのエピソードを知ることができて面白かった。麗子さんがモデルとして動かずに耐えていたという話は、愛や信頼があるからだと感じた」と話した。

 

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