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世界中で今なお続くテロや紛争ー。子供のころに見た戦後の町並みと、身内の死、そしてヌーラ・ニー・ゴーノルの詩とパウル・ツェラン詩の影響を受けた作品展「大坪美穂展 海界(うなさか)2010〜インスタレーションを中心に〜」の展示が、小淵沢町のフィリア美術館で開かれている。九月二十六日まで。
展示では、あの世とこの世の界を表現した「海界」をはじめ、黒く染めた古着を椅子に着せ、まるで自由を奪われた囚人のように番号札が付けられた「黒いミルク」、シルクスクリーンの壁面の下に、悲しみや過去を丸めた布玉が置かれた「サイレント・ヴォイス」の三つで、一つの世界を表現している。
また「海界」の作品には、こよりが約七千本使われている。土佐和紙と英字新聞が使われ、時間を封じ込める意味と浄化、海に深く沈む闇の世界に一筋の光が表現されている。
大坪さんは、「戦後の復興による活気がある一方で、町の風景はバラックだったり、戦争によって負傷した元兵士が物ごいをする姿がまぶたに焼き付いている。それが私の原風景になっていて、戦争やテロを見た時に記憶の風景と重なることがある」と話し、「今起きていることを若い世代に伝えたい。これを見ることによって命の大切さを知ってもらいたい」と話している。
問い合せは電話36-4221まで。