アナグマ

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 春一番が吹きあれた2月中旬の昼間、物置小屋前の踏み石にチョコンと座る動物がいた!

アナグマである。右目は大量のメヤニで白く覆い被され、冬の浅い眠りから、春と思い起きてきたのであろう。寝ぼけまなこで私を見つめる姿は、初めて人をみるようだった。

私との対面は連続して3日間続いた。所用で後ろ髪を引かれるような思いで別れを告げ、2週間後に再会を待ったものの、2度と姿を現してくれなかった。巣穴に戻ってまた春眠についたと自分を納得させた。

文献によると、アナグマは視力が弱く、私のこともよく目視認知出来てなかったと思われる。

この里、人家の近くにも、夜行性のタヌキ、キツネ以外、ムジナと呼ばれて来たアナグマがいたことで、なぜか昔にタイムスリップするような春先を迎えた。と同時に長く続く杉花粉との戦いがはじまった苦い春一番であった。

(文・写真 広瀬進)

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