できごと

鉄道写真の楽しさを語る

 「ゆる鉄」や「1日1鉄」など、新しい視点で鉄道写真を紹介して人気を集めている鉄道写真家の中井精也さんを迎えた「ゆる鉄画廊NOMAD」ギャラリー&ショップが、9月2日と3日に高根町清里の清里フォトアートミュージアムで開かれ、多くの鉄道ファンが訪れた。

 この企画は、現在開催中の「鉄道愛」展の一環として行われたもので、同ミュージアムのロビーに開設されたギャラリー&ショップには、中井さんが撮影した鉄道写真が展示された。

 2日の午後2時から始まったギャラリートークは、同ミュージアム内の中井さんの作品が展示されているコーナーで開かれ、多くの来場者に人気の高さを伺わせた。

 中井さんは、飯山線で撮影した1枚を手にし、「絵本の挿し絵のような作品です」、「大雪が降っていて、フラッシュを使ったら雪が星のように映った」と当時の撮影の様子を紹介。

 また、女性駅員のシルエットの写真では、「現場のピリッとした緊張と女性のしなやかな指差し」と話し、「動画では表現できないスチルカメラだから撮ることができた一瞬の所作。最高の1枚です」や、夏の日に撮影した流し撮り作品では、「夏の色彩を表現するのに流し撮りしよう」として完成した作品など、1枚1枚への思いや撮影秘話を織り交ぜながら紹介した。

 中井さんは「僕が撮りたいのは、旅情、ゆるい雰囲気をいかに写真にするか。写真で感じてもらいたいことがポイントになっている」と話し、写真の構図で注意している点など、撮影で参考になる内容を惜しみなく語った。

 一方、東日本大震災の津波で流された三陸鉄道リアス線が、19年に再開した時の話として、陸中山田駅に集まった未就学前の子供たちに、「『電車に乗ってどこに行きたい』と尋ねたら、富士山や新幹線、さらにアメリカとの答えに。線路が流された後に生まれた子供たちは、鉄道はどこにでも連れていってくれる夢の乗り物だ」と感動して涙が溢れたエピソードを紹介した。

 2004年4月からスタートした「1日1鉄」は、毎日1枚鉄道写真を撮影して写真をブログに掲載する活動で、24年4月に20周年を迎えることを話し、11月に写真集を出したいと語った。