韮崎エリア

植物学者・牧野氏の足跡

現在放映中のNHK連続テレビ小説「らんまん」は、植物学者・牧野富太郎(1862年〜1957年)をモデルにした主人公・槙野万太郎(主演:神木隆之介)が登場する物語。

第二次世界大戦中、牧野氏は穂坂町宮久保の横森家に疎開しており、その証が残っている古民家「宮久保」(旧横森家)に歌碑が建っており、放送開始直後から碑を訪れる人が増えているという。

牧野氏は高知県で生まれ、独学で植物の知識を身に付け、生涯で植物の標本約40万枚、新種や新品種など約1500種類以上の植物を命名し、日本植物分類学の基礎を築いたとされ、91歳の時に東京都名誉都民に選ばれている。

故横森義隆さんの次女の有泉深雪さん(54)によると、「父義隆は生前、牧野氏と親交があり、手記で『牧野富太郎博士の思い出と歌碑建立の経緯(2001年12月)』」を残している。

この手記はA4判4㌻で、牧野氏は第二次世界大戦中の1945年5月12日から終戦後の同年10月20日の約5カ月間、横森宅に疎開し、蚕室(さんしつ)を改装した部屋で植物研究に専念していた。その後も義隆さんとの交流が続いていたことが記されている。

また、牧野氏の逝去後、牧野氏が穂坂町に疎開していた証を残そうと、疎開の時に使っていた蚕室の跡地に歌碑を建てることにし、2001年2月に完成したとしている。

この歌碑は、高さ約1・2㍍(台座含む)、幅0・9㍍で、表面には牧野氏が疎開中に横森家に贈った直筆の色紙の「草を褥(しとね)に木の根を枕花を恋して五十年」を刻み、裏面には「牧野富太郎博士疎開の地」と滞在期間が記されている。

有泉さんは、「ドラマの放送開始以降、休日に見学に訪れる人が増えている」といい、「『植物学の父』といわれる牧野富太郎先生の足跡を見て、当時に思いをはせてほしい」と話している。

歌碑は宮久保地区の県道27号韮崎昇仙峡線沿いにあるJA梨北穂坂営農センターの十字路を北西に400㍍ほど進んだコミュニティスペース「古民家『宮久保』」の敷地内にある。

問い合わせは☎090‐8845‐8514(有泉)まで。