韮崎エリア

銅版画家の馬場章氏がアーティスト・トーク

 韮崎大村美術館で現在開かれている企画展「版画+馬場章銅版画展」に関連し、6月11日、蛍雪寮を会場に銅版画作家の馬場章氏を迎えた「アーティスト・トーク」が開かれ約30人が参加した。

 馬場氏は、中学2年生まで日本画家の藤田隆治氏から絵を学び、東京芸術大学に進学してからは銅版画家の駒井哲郎氏に師事。「人のまねをするな」との教えから、ひとつの技法にとらわれず、独自の技法で作品づくりを続けている。

 アーティスト・トークでは、馬場氏の初期の作品で代表作の「Planetarium」シリーズが「版画家としてのターニングポイントになった」といい、複数の版を1枚の銅板に刷り重ね、さらに手描きの絵を組み合わせるという銅版画技法に別の技法を加えることに「作品の可能性を見出した」と語った。

 また、理想の版画を刷るためにベースとなる和紙を自らすくことで紙質を自在に変え、同じ版を刷っても違った雰囲気や造形の世界を表現できるようになったとし、自らすいた和紙と写真を組み合わせた「A corner of the garden」シリーズを紹介。

 馬場氏は好奇心に導かれるまま制作を続けてきたことを振り返り、「制作段階で新たな視点を発見することもある。失敗しても続けることが経験になり、作品づくりに生かされていく」と話した。

 北杜市から参加した徳重豊さん(72)は、「様々な技法を試し、自分に合った表現を見つけ出していく熱意に圧倒された。トークを聴いて、もう一度作品を鑑賞してみたいと思った」と話した。

 同美術館で開かれている「版画+馬場章銅版画展」は、8月27日までで、初期作品から近作まで約40点を展示。「プラス」することで生まれる銅版画の多様な表現を紹介している。

 馬場氏は、1952年福岡県で生まれ。中学2年生まで日本画を学び、東京芸術大学大学院に進み、現在は女子美術大学の版画担当の教授として後進の指導にあたっている。

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