できごと

国立天文台・野辺山で日食イベント開催

 四十六年ぶりに日本で皆既日食が観測された七月二十二日、長野県南牧村の自然科学研究機構国立天文台・野辺山では、「野辺山で部分日食を見よう!-太陽講演会と日食観察会-」が行われた。

当日、野辺山の空は厚い雲に覆われ、時折小雨が降っていたが、千九人の応募の中から抽選で選ばれた百人が、野辺山で部分日食を一目見ようと参加した。

講演会では、同天文台の浅井歩助教が、「そうだ日食を見よう-日食から見えてくるもの-」をテーマに、日食のしくみや太陽の構造などをわかりやすく説明。日食を観察する際の注意点を話し、質疑応答も行われた。

そして、中国の武漢からの皆既日食の模様を中継で見た後、参加者は外に出て空を見上げ、配布された日食グラスを片手に太陽を探し、時折薄雲の向こうに現れる三割程欠けた太陽の姿に喜びの声が上がった。

家族で参加した甲府市の落合紗弥ちゃん(8)は、「ほんの少しだけど三日月みたいになった太陽が見えてドキドキした。もう一回見たい」とうれしそうに話した。

その後、室内に戻った参加者たちは、硫黄島に派遣された観測隊からインターネットで送られてきた映像に、身を乗り出して釘付けになった。太陽と月が重なっていくにつれて硫黄島の海岸が暗くなっていく様子と、太陽の形が徐々に細い三日月のようになっていき、皆既日食が進んでいく様子が映し出され、神秘的なダイヤモンドリングの姿には感嘆の声があがった。

浅井助教は「参加者の(日食に対する)関心や注目が高く、私たちスタッフも楽しく実施できました。天気が悪く、全員が部分日食を見ることはできませんでしたが、インターネット中継がうまくいき、テレビ画面で皆既日食を見て喜んでいただけてよかった」と語った。