できごと

第1回 八ヶ岳高原文学賞 〜受賞作品の発表〜

昨年9月1日〜10月31日まで募集しました「第1回 八ヶ岳高原文学賞」には、北は青森県、西は京都府まで幅広いエリアから11作品の応募がございました。心から感謝申し上げます。

■審査
昨年11月に第1次審査を行いました。
11作品の中から選ばれた5作品

・「山小屋のおじさん」
・「深紅のテント」
・「廻る狢(むじな)の糸車」
・「運ぶのは夢」
・「広重外伝・甲州御岳の巻」

12月に第2次審査を行い。その結果、下記の3作品を選びました。

●八ヶ岳高原文学賞 大賞
「広重外伝・甲州御岳の巻」 麻川泰秀 群馬県前橋市在住

●佳  作
「山小屋のおじさん」ペンネーム:門歩 鸞(もんぶ らん)京都府在住
「廻る狢(むじな)の糸車」ペンネーム:川音 夜さり(かわおとよさり)青森県八戸市在住

■審査員 講評(要約)
●「広重外伝・甲州御岳の巻」
金峰の神さんが隠した宝物と言われる昇仙峡の誕生秘話。
昇仙峡を生むために肉体的にも政治的にも驚異的な働きをした円右衛門という男と、そこを描こうとしながらも描けなかった浮世絵作家の広重の二人の男を主人公にしている。
村人から疎外されている状況を「冷水を入れた樽の中に使っているような心地」とか、封建社会を「おらんとうとそうでないお方の間には硬い岩の天井みたいな境目があるのだ」といった表現も、いかにもこの時代の寒村に生きた男の孤独感や無力感を感じさせる。

●「山小屋のおじさん」
八ヶ岳のスキー場が舞台。ゲレンデや管理小屋の描写が的確。チーフの人物描写が明確。主人公のチーフへの想いの変化が愛しい。去っていくチーフの楚々とした態度が作品を締めている。

●「廻る狢(むじな)の糸車」
鳳凰三山辺りが舞台。オリベスクの描写が恋人の死と繋がる。古民家の糸車と幻想的な展開は面白い。枚数が規程を下回っているのが残念。

●表彰式について
今回初めて開催いたしました「八ヶ岳高原文学賞」の入賞者の住所が広い範囲に及ぶことから、北杜市内での表彰式は行わず、入賞者にはトロフィーや賞状、記念品を贈らさせていただきます。
また、今回応募いただいた皆様には、北杜市産ブドウを使った「八ヶ岳高原文学賞」記念ワインをお贈りする予定ですので、発送の準備が整い次第送りします。しばらくお待ちください。

■審査員紹介
●田中美奈子(たなか みなこ)
国語学者 金田一春彦氏の長女。金田一真澄、秀穂の姉。大学時代から父春彦の書き方の手ほどきを受け、父の仕事を手伝う。結婚後ライターへの道を進み、現在ゴルフ雑誌のライターを務める。日本ペンクラブ会員。
北杜市大泉町の金田一春彦記念図書館・副館長。

●鬼丸智彦(おにまる ともひこ・本名:加藤 正彦)
山梨県南アルプス市出身。東北大学(教)卒。元・山梨県立文学館に勤務。山梨文芸協会・前会長。『桑の村』で第9回やまなし文学賞受賞、『富士川』で第7回坊ちゃん文学賞受賞。

●高野雅裕(たかのまさひろ)
ローカルメディアとして活字媒体を軸にした企画・編集制作などを行う協立コミュニケーションズ代表。商業出版を行っている。

●藤崎一雄(ふじさきかずお)
山梨県北杜市を拠点に発行する地域新聞「八ヶ岳ジャーナル」、「韮崎ジャーナル」の編集長。